水彩絵の具には2種類ありますが、小さなスケッチには透明水彩を使う人が多い印象です。
この記事では、透明水彩と不透明水彩の違いと、そこから分かるスケッチに透明水彩を使う人が多い理由を書いていきます。
こんな人に
- 透明水彩と不透明水彩の違いを知りたい人
- スケッチに透明水彩を使う人が多い理由を知りたい人
もくじ
そもそも水彩絵の具とは?
透明水彩と不透明水彩の説明の前に、そもそも水彩絵の具とは何なのか?から。
絵の具は、おもに顔料と展色材から作られています。
これは水彩だけでなく、アクリル絵の具や油絵の具でも同じです。
そして水彩絵の具というのは、展色材にアラビアゴムを使用したもののことをいいます。
展色材の違いが、絵の具の種類を決める
絵の具の種類を決めているのは、展色材です。
ですので、水彩絵の具は、展色材にアラビアゴムを使用したもの、と説明できるわけです。
展色材とは
顔料はただの色の粉なので、紙にのせてもくっつきません。
展色材というのは、バインダーとか、メディウムともいわれる、いわば接着剤のようなもの。
顔料をこねて、描きたいものに定着させる働きをします。
参考
たとえばアクリル絵の具の場合は、顔料+展色材にはアクリル樹脂が使われています。
水彩絵の具の特徴
水彩絵の具は、水に弱いのが特徴です。
そんな特徴ゆえに、水の量によって変化させることができる、つまり表現を追求できると言い換えられます。
といっても、手帳スケッチはの場合は、本格的な水彩画の技法を使うことはありませんが。
たとえば色を重ねて塗ったとき、十分に乾いてない状態で行うと、下の色がはがれてしまいます。
水彩絵の具を使ってる人なら経験があると思うのですが、それも水に弱いから起こることなのです。
参考
アクリル絵の具は乾くと耐水性になるので、水彩絵の具とは性質が異なります。
透明水彩と不透明水彩(ガッシュ)の違い
水彩絵の具には、透明水彩と不透明水彩(ガッシュ)の2種類あります。
どちらも水彩絵の具という点で、原料は同じです。
じゃあ何が違うのかというと、配合比率が違います。
- 透明水彩 → 顔料が少めで、展色材が多め。
- 不透明水彩 → 顔料が多めで、展色材が少なめ。
透明水彩と不透明水彩(ガッシュ)、特徴の比較
原料の配合比率が違うことで、透明水彩と不透明水彩(ガッシュ)にはそれぞれの特徴がうまれます。
- 透明水彩は下地が透ける
- 不透明水彩は下地が透けない(隠ぺい力が高い)
- 透明水彩は、白い絵の具の代わりに水を多用する。「白」そのものは紙の色をそれとみなす。
- 不透明水彩は、白い絵の具を多用する。
参考
透明水彩に強いハイライトを入れたい場合、不透明水彩(ガッシュ)の白を使うことがあります。
スケッチに透明水彩を使う人が多い理由
スケッチの際、よく使われている水彩絵の具は、透明水彩かなと。
その大きな理由は、透明水彩は、チューブからパレットに出して乾燥させると、そのままの状態で置いておけるから。
パレットを一回一回洗わなくてよく、固めた絵の具を水でときながら使っていくことが出来るため、とても便利なのです。
これは、水彩絵の具が水に弱いという性質を生かした使い方ともいえますが、透明水彩と不透明水彩の、原料の配合比率の違いも関係しています。
参考
アクリル絵の具は乾くと耐水性になるので、そもそもパレットに出しっぱなしに出来ません。
不透明水彩は、パレットに出しっぱなしではダメ?
不透明水彩は、基本的にパレットに出しっぱなしには出来ないんです。
その理由は、不透明水彩は、透明水彩よりも顔料の比率が高いから。
だから、チューブから出したものを乾燥させると、ひび割れてしまう恐れがあるんです。
なので、パレットに出しっぱなしにしておくことが出来ないというわけです。
紙の上でも、厚く塗った不透明水彩はひび割れが起こるので、仕方ないですね。
(※種類は少ないけど、もともと固形タイプとして売られている不透明水彩はあります。)
小学校で使っていた絵の具は学校教材用として作られているもので、不透明水彩の一種とのこと。
だから、絵の具を出しっぱなしにはできず、毎回パレットを洗っていたんですね。
というわけで、透明水彩水彩は「パレットを作る」なんていう言い方をするのですが、一旦チューブから出して乾燥させておけば、パレット一つと水筆1本で、身軽にスケッチに出かけられるというわけです。
白い絵の具を使わない点も良い
絵の具の色味を薄くしたい時、透明水彩では白い絵の具の代わりに、水を使います。
個人的に思う透明水彩の使いやすさに、この「白い絵の具を使わない」という点もあげたいです。
パレット上で色が白濁していかないのは、とても扱いやすいと感じています。
自宅だけでなく、外でもスケッチする場合、こういう扱いやすさは大きなメリットだと思うのです。
まとめ
絵の具はおもに、顔料+展色材で作られていて、展色材の違いが絵の具の種類を決めています。
水彩絵の具の展色材は、アラビアゴム。
透明水彩も不透明水彩も、原料は同じですが、配合比率が違います。
- 透明水彩は、顔料が少なめで、展色材であるアラビアゴムが多め。
- 不透明水彩は、 顔料が多めで、展色材であるアラビアゴムが少なめ。
透明水彩と不透明水彩は、それぞれの特徴をくらべると、
- 透明水彩は、下地が透けて見える。
- 不透明水彩は、下地が隠れる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー - 透明水彩は、白い絵の具の代わりに水をたくさん使う。
- 不透明水彩は、白い絵の具をたくさん使う。
また、顔料が少なめの透明水彩においては、乾いてもひび割れがおきないことから、チューブからパレットに出して乾燥させた状態で保存しておくことができます。
水に弱い性質もあり、水でとかしながら使っていくことができるというわけです。
携帯しやすいし、無駄なく使えることもあって、手帳や小さなスケッチブックで手軽なスケッチを楽しむ人には、透明水彩がやっぱり便利なんですね。
そもそも手帳や小さいスケッチをする場合、本格的な水彩画ではないので水の量もほとんど要らず、めちゃくちゃ手軽です。
パレット一つと水筆1本で出来るので、ぜひ気軽にスケッチしていきましょう。